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サム・バンクマン・フリードの栄光と転落の物語(『Going Infinite』書評)

Going Infinite: The Rise and Fall of a New Tycoon は、ベストセラー作家マイケル・ルイスが、仮想通貨取引所FTXの創設者であるサム・バンクマン・フリードの栄光と転落の物語を描いた2023年のノンフィクションです。

本書では、ルイスがバンクマン・フリードと出会ったときから、彼がFTXを世界最大の仮想通貨取引所に成長させた過程や、彼が抱えていた秘密の恋愛や詐欺の疑惑など、彼の人生に起こった様々な出来事を詳細に追っています。

ルイスは、バンクマン・フリードが数学の天才でありながらも、社会的にぎこちなく、自分の感情を表現するのが苦手な人物であることを描写しています。バンクマン・フリードは、仮想通貨の世界で巨万の富を築きながらも、その一部を慈善活動に寄付するなど、理想主義的な一面も持っていました。しかし、彼は自分の帝国を守るために、法律や倫理に反する行為に手を染めてしまうことになります。

本書は、仮想通貨という未知の領域で起こった驚くべき出来事や、バンクマン・フリードという謎めいた人物の内面を探ることで、読者に興味深い洞察を与えてくれます。ルイスは、彼の鮮やかな筆致とジャーナリズム的な調査力で、バンクマン・フリードの壮大な野望と悲劇的な結末を見事に描き出しています。

本書は仮想通貨に関心がある人だけでなく、人間ドラマやビジネススリラーが好きな人にもおすすめです。ただし、本書は仮想通貨の技術的な側面や経済的な分析にはあまり触れていません。また、本書はバンクマン・フリードに対してやや肯定的な姿勢を取っているように感じられる場面もあります。

本書は2023年10月3日にW W Norton & Co Incから出版されました。本書の長さは254ページです。本書は英語で書かれていますが、日本語版も近日中に発売される予定です。